三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、三菱UFJ銀行の約3万5,000人を対象にChatGPT Enterpriseを段階的に展開しています。OpenAIが2026年5月28日に公開した事例では、ツールを配るだけでなく、研修、利用ルール、部門ごとの推進担当を整えながら、日常業務へ生成AIを組み込む取り組みが紹介されています。
約3万5,000人へChatGPT Enterpriseを展開
MUFGは2024年10月にOpenAIとの取り組みを開始し、金融業務の変革と生成AIによる効率向上を進めてきました。2026年からは、三菱UFJ銀行の約3万5,000人が日常業務で利用できるよう、ChatGPT Enterpriseを段階的に展開しています。
導入の目的は、一部の専門家だけがAIを使う状態ではなく、各部門の社員が日常業務の中でAIを活用できる組織基盤を作ることです。
金融機関での導入を支える教育とガバナンス
金融機関では、情報管理、承認経路、利用可能な業務の範囲を明確にする必要があります。MUFGは、ChatGPT Enterpriseを利用する社員にeラーニング受講を必須とし、アカウントを付与された社員の研修参加率は100%に達しました。
OpenAIは、企業利用のガイダンス、運用計画、製品教育、全社員向け研修、カスタムGPTのワークショップ、経営層向け勉強会を支援しています。MUFG側も各部門にAI推進担当者を配置し、中央組織だけに依存せず、現場から利用方法を広げています。
確認されている初期成果
- ChatGPT Enterpriseを三菱UFJ銀行の約3万5,000人へ段階展開
- アカウント付与対象者の必須eラーニング受講率100%
- OpenAIによるカスタムGPT研修後、4か月で1,800超のカスタムGPTを作成
- AI動向の調査や社内向け更新資料の準備など、一部業務で負荷を20〜30%削減
各部門が業務に合わせて作成するカスタムGPTは、社内で「AIバンカー」と呼ばれています。時間のかかる作業を効率化し、特定の担当者に偏っていた知識を組織内で利用しやすくする目的があります。
顧客向け金融サービスは計画・準備段階を含む
MUFGとOpenAIは社内業務だけでなく、顧客が金融サービスを見つけ、相談し、行動する方法の変化も検討しています。
OpenAIの公式事例では、MoneytreeをApps in ChatGPTから利用し、自然言語で口座残高や取引情報を確認できる体験が紹介されています。ただし、掲載画面と機能は例示であり変更される可能性があります。
また、WealthNaviとの連携、統合金融サービスブランド「エムット」のデジタルバンクでのAIコンシェルジュや助言基盤の導入準備も説明されています。これらは将来計画を含むため、すでに全面提供されているサービスとして扱うべきではありません。
この事例から分かる導入の要点
- 大規模導入では、製品選定だけでなく研修と利用ルールが重要
- 金融機関では情報管理、承認、ガバナンスを導入計画に組み込む必要がある
- 部門ごとの推進担当者が、実務に合った活用を広げる
- 削減できた時間は、人が担う顧客対応、提案、判断、承認へ振り向ける
- 実績と将来計画を区別して評価する必要がある
まとめ
MUFGのChatGPT Enterprise導入は、約3万5,000人規模の展開と、全対象者への必須研修、部門ごとの活用支援を組み合わせた事例です。初期成果として、1,800超のカスタムGPT作成と、一部調査業務における20〜30%の負荷削減が報告されています。
金融サービスへのAI導入では、効率化の期待だけでなく、情報管理、ガバナンス、人による判断を維持しながら、実績と計画を分けて確認することが重要です。